
犬には何色が見える?色覚研究で分かることと遊び道具の選び方
犬の色の見え方を研究で確かめられた範囲から知り、色だけに頼らない遊び道具選びを考えます。
犬は白黒だけで世界を見ているわけではない
「犬には色が見えない」と聞くことがありますが、研究では犬が色を見分ける仕組みを持つことが調べられています。1989年の研究では、3頭の犬を対象に色の識別課題などを行い、網膜に異なる感度を持つ2種類の錐体視物質があること、犬の色覚が二色型であることと整合する結果が報告されました。
二色型は、色の情報を受け取る錐体の種類が人の一般的な三色型より少ないという意味です。白黒しか見えないという意味ではありません。また、犬の感じ方を人の色覚の言葉だけで完全に言い表せるわけでもありません。
「赤と緑が同じ色」と単純には言い切れない
後年の行動研究では、犬に色を使った識別課題を行い、赤と緑の区別に関して人の一部の色覚特性に似た反応が報告されています。ただし、これは決められた図柄や実験条件での行動を調べた結果です。犬が主観的に何色として感じているかを直接聞いたものではなく、日常の全ての物の見え方を示すものでもありません。
さらに、色を使った実験では明るさの差が手がかりになることがあります。犬の色識別を調べた研究でも、画面上の刺激の明るさが結果の解釈に影響しうると指摘されています。研究の対象数や課題、照明・明るさの条件を踏まえ、特定の結果を全ての犬にそのまま当てはめないことが大切です。
おもちゃは色だけで選ばない
研究だけから「犬にはこの色のおもちゃが一番よい」と一律に決めることはできません。遊び道具を選ぶ時は色だけでなく、床や草地など背景との見分けやすさ、形や動き、犬自身が追ったり見つけたりできるかを一緒に観察しましょう。大きさや素材も確認し、誤って飲み込むおそれのある小さな部品がないか、遊ぶ間に見守れるかも考えます。
犬がいつもの玩具を急に見つけにくそうにする、物にぶつかる、目の様子や行動が急に変わるといった時は、色覚の個性だと決めつけず、獣医師に相談してください。この記事は犬の視力を家庭で判定する方法ではありません。
まとめ
犬の色覚は人と同じではありませんが、白黒だけという説明も正確ではありません。研究は色を識別する仕組みを示していますが、全ての犬の主観的な見え方や、おもちゃの最適な色まで決めるものではありません。色以外の見分けやすさや犬自身の反応も見ながら選び、見え方に急な変化があれば獣医師へ相談しましょう。
この記事の根拠と執筆情報
根拠・出典
- Neitz, Geist & Jacobs, Visual Neuroscience — Color vision in the dog(3頭の犬の色識別課題と二色型色覚、1989年)
- Blake et al., Royal Society Open Science — Are dogs red–green colour blind?(犬の色覚テストに対する行動反応、2017年)
- Byosiere et al., Applied Animal Behaviour Science — The effects of physical luminance on colour discrimination in dogs(色識別課題と明るさの影響、2019年)
読み方の補足:1989年研究は犬3頭の色識別課題などから二色型色覚と整合する結果を報告し、2017年研究は改変した色覚テストに対する行動反応を調べています。これらは犬の主観的な見え方を直接測ったものではなく、個々の犬や玩具の色の好みを決める根拠でもありません。2019年研究は、色識別課題で刺激の明るさが解釈に影響する可能性を扱っています。
獣医師への相談
症状や飲水量・尿量・体重・食欲の急な変化、検査での指摘、投薬中、妊娠・授乳中、食事やサプリメントを変える場合は、開始・変更の前にかかりつけの獣医師へ相談してください。処方薬や療法食を自己判断で中断・変更しないでください。